アリスたち 油彩・キャンバス 651×530mm 1971-1972
アリスたち 油彩・キャンバス 651×530mm 1971-1972
アップリケ 油彩・キャンバス 409×318mm 1975 アップリケ 油彩・キャンバス 409×318mm 1975
ハートのA 油彩・キャンバス 409×318mm 1978 ハートのA 油彩・キャンバス 409×318mm 1978
ール・デコ時代の画家たちは、いや画家だけではなく、作家も、音楽家も演劇家も、映画人も、デザイナーも、贅沢な”客間”の空気に肌身で触れた人々であった。クニヨシ・カネコは仮に二十年代フランス画壇に生まれ合わせていたならば、マリー・ローランサン、フジタ、ヴァン・ドンゲン、パスカンらと並んで、おそらく世界的名声を勝ち取っていたであろう、”趣味”と”感性”と”才能”との稀なる結合をそなえた画家であり、そして精神の貴族でもある……。
「私にとって絵を描くことと、身のまわりに置く家具を選ぶこととのあいだに違いはない。」”甘ずっぱい空間” と題したエッセーの中で金子國義は自らこう記している。彼のアトリエを私はじっさいに訪れたことはないが、雑誌などに何度か写真入りで紹介された彼の部屋のたたずまいは、調度のすみずみに至るまで、まさしくヨーロッパ世紀末の、もしくは二十年代アール・デコ時代の「サロン」そのままである。
そして、このアンティックな雰囲気のなかに、彼が自分の部屋を飾り立てるためにつくり上げたという作品が全体とのしっくりした調和を保ちつつ、それでいて〈國義描く〉という現代的日付と、鮮やかな独創性のスポットライトの中に浮かび上がっている。
絵画はその intime な生存空間をようやく取り戻した感じである。